ロッカーとは簡単に言えばボードのボトムの反りのこと。
基本的にはロッカーの反り(カーヴ)が強いほど回転性がアップし、ターンフィーリングもソフトタッチにしやすくなります。
反対にロッカーの反り(カーヴ)が緩くなりストレート気味になるほど、スピード性能はアップしますが回転性は劣り、ターンフィーリングも抵抗を感じるように硬いフィーリングになっていきます。
ボトムのカーヴが大きくなるほど、水面に対してボードのボトム面がフィットしづらく抵抗を生むようになります。
ターンフィーリングは良くはなりますが、走らせる上では、上手くこのカーヴによる抵抗を生ませることなくボードをコントロールしてスピードを得るスキルが必要になって来ます。所謂スウィートスポットに乗れないと加速を得るのが難しいと言えます。
ボトムのカーヴが少なくなるほど水面にフィットしやすく抵抗も少なくなるので、スピードを得やすく安定性も高まって来ます。
加速に繋がるスウィートスポットを気にすることなく、比較的ニュートラルなポジションに乗っているだけで、イージーにスピードを得やすくなります。
ボードコントロールのスキルの乏しいサーファーでも、イージーに乗りやすいと言えます。
ロッカーはボードのノーズからテールにかけて、全体的にカーブが入っています。
そのカーヴが強めでノーズからテールまでハッキリ入っているものをフルロッカーと呼びます。逆に抑えたロッカーのものをローロッカーと呼びます。
ローロッカーであっても、緩やかにはカーブを描くロッカーになっています。
もしもカーブをなくしフラットにストレートにしてしまったら、ターンの際に抵抗が生まれボードを回すのが難しいものになってしまうからです。
基本的にロッカーの強めなフルロッカーのボードは、波のサイズがありパワーがあるショルダーが立つブレイクに適していると言えます。
ロッカーが強くなるほど回転性能は高まりつつもスピード性能は劣って来ますが、波に力があると波からのスピードも得やすくなり、立ち上がって来る波の壁のアールにボードのロッカーの強めなアールがフィットしやすく、スピードコントロール、そしてボードコントロールがしやすくなるといったメリットを得られるようになります。
しかしロッカーが強くなるほど安定感は損なわれ、生まれる抵抗からパドリングにおいてもボードを走らせるスウィートスポットをキープしてのパドルスキルが必要になります。
波に力のないブレイクコンディションでも、やはりスムースに早く滑り出させるには、テイクオフでのポジショニングやパドルスキルも必要になって来ます。
このパドルスキルやテイクオフスキルが劣っている場合や波に力のないコンディションでもイージーにスピードを得るには、ローロッカーのボードが有効になって来ます。
ロッカーを細かく分けると、ノーズロッカー、エントリーロッカー、プレーニングロッカー、テールロッカー、テールエンドロッカーといったように分かれます。
●ノーズ先端のロッカー(フリップ)のことをノーズロッカーと呼びます。
このフリップを強めるほど、ショルダーの立った掘れたブレイクでも刺さりづらく(パーリングしづらく)なるメリットを得られます。
●水の流れの入り口辺りの反りの部分をエントリーロッカーと呼びます。
このエントリーロッカーが強まるほどやはりパーリングは避けられやすくなりますが、強まるほど水の流れに抵抗を生みやすくなるのでスピードを得るのにボードコントロールスキルが必要になって来ます。
逆にエントリーロッカーが抑えられるほど、水の流れをスムースに取り込むことが出来るので、スピードを得やすくなります。このエントリーロッカーとコンケーブとのコンビネーションは重要で、コンケーブとのバランスに優れたシェイプほどスピードをイージーに得やすくなるグッドシェイプなサーフボードと言えます。
どんなに見た目コンケーブが掘られ抑えたエントリーロッカーなボードでも、この部分のコンビネーションに優れたシェイプでないと水の流れがスムースに流すことができない抵抗を生み、そのサーフボードの性能を台無しにしてしまうシェイパーの吉野も大変気を使ってシェイプしている重要な部分です。
●ボードを走らせコントロールする上で一番重要になって来ると言えるロッカー部位がプレーニングロッカーと呼びます。
このプレーリングロッカーが強くなるほど回転性やコントロール性がアップし、ストレート気味に抑えるほど勝手にボードが走っていくようなニュートラルに加速を得られやすなります。
プレーニングロッカーが強くなるほど回転性やコントロール性がアップする反面、加速を得るにはターンして走らせるといったボードコントロールスキルが必要になって来ます。
プレーニングロッカーを抑えフラットになるほど、スピード性能はアップする反面、ターンコントロールをする必要が高まって来ます。
このプレーニングロッカーのバランスを取るには、レングスチョイスが重要になって来ると思います。
プレーニングロッカーの強いボードを回転性やコントロール性をよく、そしてスピード性能もアップさせたいのであれば、比較的長めなレングスチョイスをすることでプレーニングロッカーエリアも広がるので良いでしょう。
逆にプレーニングロッカーを抑えたスピード性の優れるボードで回転性やコントロール性をアップさせるには、比較的短めなレングスチョイスがバランスよく乗りやすくなるでしょう。
●プレーニングロッカーからテールに向けて繋がる部分をテールロッカーと呼びます。
このテールロッカーが強まるほど回転性やコントロール性はアップしますが、波のパワーを得づらくなり、また波からのレスポンスも得づらくスピードに繋げづらく感じるようになります。また安泰感も損なわれてきます。
逆にテールロッカーを弱めるほど、テールからの押すようなレスポンスが高まり加速も得やすくなり、また安定感も高まり乗りやすくなって来ます。
●テールのセンターフィン辺りからテールエンド辺りのロッカーをテールエンドロッカーと呼びます。
このテールエンドロッカーにキックを施すと、テールを蹴り込むことでボードをクイックに反応させやすくなります。ボトムからトップへとバーティカルにアプローチさせるのに大変有効になって来ます。
テールエンドロッカーを抑えるほど、安定性とドライブ性がアップします。
先にも話しましたが、まずエントリーロッカーとコンケーブのコンビネーションは大変重要です。
パドリング、テイクオフ、ライディングと、全てにおいてイージーにスピードを得られるためにも絶対必要不可欠なシェイプバランスになると言えます。
プレーニングロッカーとコンケーブのコンビネーションでは、フルロッカーで強めなロッカーにスピード性をアップさせるためにコンケーブでプレーニングエリアを広げ水の流れを流しやすくするシェイプをすることがあります。
ロッカーとコンケーブは現在のサーフボードシェイプにおいては、大変密接な関係性を持っていると言えます。
まずは色々なコンディションを経験して、様々にスピードをまずは覚える必要のある初心者や初級者は、オールラウンドなコンディションで練習しやすいノーズフリップがあり、エントリーロッカーからテールエンドにかけて抑え気味にスピードを得やすいローロッカーなデザインのボードがおすすめかと思います。
サイズがありパワーもあり、そしてショルダーの立つ波では、全体的にフルロッカーなボードが扱いやすくなりおすすめとなります。
サイズがありながらもショルダーの張りづらいパワーレスな波では、ノーズフリップは強め、エントリーロッカーは強すぎず弱すぎず程よくノーマルに、プレーニングロッカーからテールロッカーは抑え目、そしてテールエンドは目的によってキックするものかしていないものかチョイスされると良いかとおすすめ出来ます。
小波コンディションでパフォーマンスサーフィンを楽しむには、ノーズロッカー、エントリーロッカーはノーマルに、プレーニングロッカー、テールロッカーは抑え目に、そしてテールエンドロッカーは目的に合わせたチョイスがおすすめになります。
そして特にパワーレスで柔らかいスモールコンディションでは、全体的に抑えたフラット気味なロッカーがおすすめでしょう。
ただ小波用でもコンケーブやボードのワイドでのバランスによってフルロッカーに回転性高いボードといったものも面白いものでもあります。
サーフボードの性能で重要なのはトータルバランスで考える事です。
あくまでもここでお話しさせていただいていることは基本として認識いただき、自分のイメージされるものをシェイパーにいかに相談して近づけて行けるかといったことが重要になると言えます。
ロッカーはボードの反りということだけでなく、レールのロッカーやコンケーブ、そしてアウトラインとのバランスなど、様々なバランスが絡んできます。
自分がそのボードをどのようなコンディションをメインに使い、どんなサーフィンをするのか、またどんなアウトラインのボードに乗り何を最重視に楽しみたいのかなどと、自分の現在のスキルに照らし合わせながら目的をハッキリさせてチョイスされることが大切と考えます。
各モデルページにロッカー画像にて説明させていただいておりますので、このページの内容を基本に参照していただければと思います。